つれづれじぐま

産業カウンセラーのこと、社労士のこと、日常のこと等をなんとなく書き綴ります。

時を越えて新しく7

むーん。どうしてこうなった?

祈念式に向けてエーレンフェストに帰領した日、転移の間ではお母様が今か今かと待ち構えていた。

「お帰りなさいローゼマイン。お茶会の支度はできていてよ。初めての貴族院の素敵なお話を聞かせてちょうだい。」

お母様はエルヴィーラ。実父の第2婦人であり洗礼式時に私の母として立ってくれたため、貴族的には私はエルヴィーラの実子となった。

「ただいま戻りましたお母様。素敵なお話ともうしますと・・・???」

一体何を言っているのかがわからず直截に尋ねると、

「んまぁーローゼマイン。アレキサンドリアの領主候補生フェルディナンド様の話ですよ!!」

フェルディナンド様?あの挨拶以外に接点がないけれど???

「とにかく場所を移しましょう。隠しても無駄ですからね。」

???のままお母様の後に続く。本当に何もないのだけれど、このお母様の鼻息の荒さ。なにか恋物語によいネタを見つけているか、側近からの報告を受けているかかしら?

共に帰領した筆頭側仕え見習いのブラントゥーリと、筆頭護衛騎士見習いのルッツハルトと共に顔を見合わせる。

「ハルトムートからの報告ですかね?」

「いや、ハルトムートではないでしょう。我が異母兄ながらもぶっとんではいますが優秀です。誤解を招くような報告はしないでしょう。」

「文官見習いのミュリエラではないかしら?彼女はとても空想家ですから」

ほうっと細く息を吐いた。

「トゥーリそうなの?それはぜひ作家として物語を書いてもらえないか頼めないかしら?」

ブラントゥーリはローゼマインの乳母のエーファミアの子であり乳姉妹だ。そしてルッツハルトの母とブラントゥーリの母は親族であり、事情によりエーファミアの家に預けられたため、2人は私とは幼なじみになる。舌のまわらないうちから一緒のため、トゥーリ、ルッツと3人だけのときは呼んでいる。

「まだ1年生ですからね。これからどう育つかによるでしょうけれど、報告には問題がありそうです。」

そんな話をしているうちにお母様の用意した部屋へと到着した。