つれづれじぐま

産業カウンセラーのこと、社労士のこと、日常のこと等をなんとなく書き綴ります。

時を超えて新しく2

私はローゼマイン。
最下位領地エーレンフェストの領主候補生だ。
今年貴族院に入学した1年生。
1学年上のヴィルフリート義兄様の後について、始まりの宴の挨拶周りをしている。
現在17ある領地の最下位がエーレンフェスト。
中領地でこれと言った産業もない片田舎。
大領地に囲まれながらも、なんとか領地を維持している。

まずは王族へのご挨拶。
豪奢な金髪に碧眼、巻き髪のお姫様は、ディートリンデ。6年生で傍系王族の姫だと言う。
その姫を筆頭に、1年生の王子が2人に姫が1人にこにこと座っている。
ディートリンデは居丈高に底辺領地の領主候補生2人を見下し、挨拶もそこそこに退去した。
むーん。感じ悪ー。
まぁ6年生ならもう今年限りだし、接点ないからいっかぁ。
同学年に3人の王族かぁ。うぇ~。面倒そうだなぁと思いながら、次の領地へと向かう。
次の領地は1位のアレキサンドリアだ。
水色の髪に金の瞳。まるで彫刻のような美しさ。今は座っているけどきっと背も高いんだろうなと思える、すらりとした腕や指。大好きなアレキサンドリア恋物語の子孫だもんねと、思わず凝視して見惚れそうになるところをヴィルフリート義兄様に手を叩かれ、両腕を交差し、頭を下げる。
「初代と同じ名だな」
と呟かれ、同じようにアレキサンドリア恋物語を読んでいるのかと嬉しくなり、応える。
このまま楽しく本好きのお友達になれないかなと、思ったところを、ヴィルフリート義兄様が謝罪し、引っ張るように辞去させられた。なんでー?
義兄様によると、底辺領地である者が1位の大領地の領主候補生に軽々しい口を利くのは不敬だとの事。
次からの領地も、最初に挨拶した王族ほどではないにしろ、居丈高にされることがほとんどだった。
むーん。領地順位なんて関係ないけど、この順位で図書館の使用権限にも関わるという。
底辺だからってなんでも甘んじていたくないよね。
いっちょやるしかないね。
きっと順位あげない限りはエーレンフェストの皆が下に見られて軽口一つ叩けないんじゃあ息苦しい。
小さくガッツポーズをして、ちらりと振り返る。
水色の髪の背の高い人が、キラキラ女子達に囲まれているのが見えた。