つれづれじぐま

産業カウンセラーのこと、社労士のこと、日常のこと等をなんとなく書き綴ります。

時を超えて新しく3

私はローゼマイン。
今日は図書館登録の日だ。
ヴィルフリート義兄様が、
「1年生全員が座学合格しない限りは図書館への入館は禁止だ」
と言った事で私は燃えた。
スパルタ家庭教師と化した私は、1年生13人をすべて座学一発合格させたのだ。
子供部屋での勉強もしてたし、そんなに大した事ではないと思うのだけれど、底辺領地のエーレンフェストが初日合格を修めた事に一同が騒然とする。
上級生達は、1年生に先をこされ、実績を出された事に青ざめ、また他領より目だってしまった事を嘆いている。
でもそんなの図書館に行くためなんだからしょうがなくない?成績はいいほうがいいよね。
忖度?そんなのぽぽいのぽいだ。
小窓から木札を差し入れ入室する。
登録を終え、閲覧室に入ると、
何体ものシュミル型魔術具がほてほてと歩きながらお仕事をしている。
天井まで届く書棚。紙とインクの匂い。ここは地上の楽園!!
「神に祈りを!!」
身体から大量の祝福が飛び出す。
驚く1年生や司書の先生。
なぜかうっとりするように目を細めたシュミル達。
頭を抱える側近達に、同様に神に祈り始める筆頭文官のハルトムート。
始まったばかりで、人がいなくてよかったぁ。
ヴィルフリート義兄様もいなくてよかったぁ。
魔力を放出して、ふぅと息をつくと、
「ひめさま」
「ひめさま」
と2体のかわいいシュミル型魔術具が私に呼び掛ける。
「ひめさま?急にどうしたの?」
鼻先をなでなですると気持ちよさそうに目を細めてる。
「ひめさま本読む?」
「ひめさま新しい衣装ほしい」
2匹はそれぞれの事を話す。それを見ていた司書のソランジュ先生が、
「まぁ大変!!」と声を上げたすぐ後に、午後の授業の予鈴が鳴り響き、天井からきらきらと光が降ってきた。
「ローゼマイン様、この2匹はヴァイスにシュバルツという古からの魔術具です。ここには沢山のシュミル型魔術具がございますが、この2匹はその原点とも言える古からのものなのです。
王族が管理しているもので、魔力をもっとも注いでいる者を主と認識します。おそらく先ほどの祝福で主とみなされたのだと思いますが、この件について王族に報告しない訳にはいきません。ローゼマイン様も領主様にご報告ください。」
そう言われ私達は事の大きさに顔がひきつった。
「さあさあ予鈴はなりましたよ。この図書館を利用していて午後の授業に遅刻したというのは許されません。1年生は終わっていても、側近の方達はまだ授業があるのでしょう?側近の都合を考えられない領主候補生ではいけませんよ」
と、図書館を追い出されてしまった。
「ひめさままたね」
フリフリと2体のシュミルが手を降って送ってくれた。